糖尿病はいまや国民病といえる、生活習慣病です。
40代女性のおよそ2割が、糖尿病かその予備軍といわれています。
原因は、そのほとんどが、肥満や運動不足、お酒の飲みすぎといった不摂生。
糖尿病の予防に有効な遺伝子が21世紀になって見つかりました。
その名はPGC1α(ぴーじーしーわんあるふぁ)
これが増えると、細胞内に存在するミトコンドリアが活性化することがわかりました。
ミトコンドリアは、血中の糖を細胞内に取り込んで、
エネルギーに変える働きをしています。
しかし、加齢などによって、その機能が弱まると、
ネルギーに変えられるはずの糖がたまり、
血糖値が上昇、糖尿病になってしまう人もいます。
この弱ったミトコンドリアの機能を回復させるのが、cgc1αです。
これが増えるとミトコンドリアは、再び糖をエネルギーに変える機能が回復し、
血糖値が下がるというわけです。
pgc1αを増やす働きが、コーヒーのカフェインにあることがわかってきたのです。
■兵庫県 神戸大学病院 小川渉さんの研究小川さんの専門は糖尿病。
コーヒーとpgc1α遺伝子の関係を研究しています。
小川さんのコメント
「カフェインは、糖尿病の予防に有効な遺伝子を増やす働きがある。
その遺伝子が増えることによって、他の遺伝子をたくさん増やす
作用を持っている、 というような遺伝子です。」
小川先生は、コーヒーを飲んだときどんなことが起こるのか、
ある実験を見せてくれました。
登場したのは、実験用のマウス。
(1)マウスを専用のベルトコンベアーに乗せて、1時間走らせます。
→ 運動後の骨格筋細胞を採取、PGC1αがどのくらい増えたかを測ります。
(2)運動させていないマウスの骨格筋細胞
→ コーヒーの成分の一つカフェインを注入して
PGC1αがどのくらい変化したか計測。
待つこと3時間。
実験の結果は、、、
安静時を1とすれば、
運動させたマウスは5に近くカフェインを注入したものは、3.5くらい。
運動させたマウスのpgc1αの値に対して、
カフェインを注入したマウスのpgc1αの値も、それに迫る値を示したのです。
運動をして増えるpgc1αは、コーヒーを飲むことでも
増やすことができるというわけです。
小川先生のコメント
「運動によって交感神経が活性化して、それによって代謝が上がるということが、
運動による健康を増進する効果の一つと考えられている。
カフェインは、それに似たような作用がある。
コーヒーによって、糖尿病が予防できたりとか、
さまざまな代謝が改善する作用の一部はカフェインによって起こる」
■VTR後のスタジオでのやりとり
・野田医師の解説・・・
「基本は、運動。カフェイン摂取も日本ではだいたい半分はコーヒーからきている。
pgc1は、ミトコンドリアの機能だけでなくて、量も増やすといわれていますので、
コーヒーによる効果は大きいのではないかと思う。
ただ、コーヒーには、数100の成分があるので、
主としてクロロゲン酸が主たるものですけど、
そういったものによる効果もありうると考えます。」
※野田医師は、カフェインのみの効果とは断言できないという立場のようでした。
・いのっち の疑問・・・
「あくまでも予防? 治療には?
・野田医師 「コーヒーは短時間のなかでは、血糖値を上げるので、
現在治療中の人に、コーヒーを勧めるということは、ない。
糖尿病になった人と、その前の人は分けて考えなければならない。
予防という表現も適切ではない。
あくまでも、コーヒーを飲んでいる人から糖尿病の発症は少ないとしかいえない。」
※治療中の人には、安易に進めないほうがいいということになる。
・アナウンサーのまとめ
「糖尿病の予防、基本は生活習慣を心がけること。」
いのっちをはじめ、出演者は、すっきりしない感じが多かったようだ。
はっきりいえない、、、、ということが多い。
関係があることはいえるが、はっきりと断言できないということが多く、
もどかしいという感じ。
この野田先生という人のキャラクターのせいもあるかもしれないが。
■まとめ
神戸大学の小川先生の研究では、コーヒー成分の中でも、
カフェインが糖尿病にいい影響を与える ということでした。
運動と同じように、pgc1α(ぴーじーしーわんあるふぁ)を
増やしてくれるという、 うれしい報告でした。『運動類似効果』と言うようです。
別な研究者の立場では、必ずしもカフェインだけでないかもしれない
という意見もあるようです。
気をつけなければならないのは、治療に使うことでないということです。
治療中の人に、安易に「コーヒーは効く」とは言えないということを
肝に銘じておきましょう。
(2012.12.22)