コーヒー豆を選ぶときに戸惑うのは、その呼び方統一性がないせいもあると思います。
生産国がそのまま呼び方になっている場合もあるし、
商社が付けた商品名などが定着している場合もあります。
まずは、代表的な豆について、整理しておきましょう。
■中米産の豆
【グァテマラ】(生産国で呼ばれる)
酸味・コク・香りのバランスが良い。
個人的に、最近では一番はずれの少ない生産国だと思います。
標高の高いで採れた豆が、特にグレードが高いとされます。
【ブラジル】(生産国で呼ばれる)
サントスという港から出荷される豆が、「サントス」です。
それ以上の意味はありません。
酸味はあまり強くなく、おとなしい味という印象。
甘みが一番の特徴だと私は思います。
焙煎するときはやや焦げやすいという印象があります。
【コロンビア】(生産国で呼ばれる)
以前は、コロンビアマイルドといわれ、質の高い生産国でした。
最近はいまひとつ。 浅煎りでは酸味を楽しめる。
深煎りで、苦味やコク重視の豆にもなる。
浅煎りで提供している店が多いと私は思います。
【ブルーマウンテン】(ジャマイカ産の豆、地域名が呼び方に)
ブルーマウンテン山脈の標高800~1200mの限られた地域で栽培されるコーヒー豆のブランド。
実際には、上記以外の場所で栽培されたものも、ブルーマウンテンと呼ばれていることが多いらしいです。
香りが高く、繊細な味。上品な紅茶にたとえる人もいます。
深煎りにすると持ち味がなくなってしまうので、ほとんど浅煎りで売られている。
値段は極端に高く、生豆ベースで普通の豆の4~5倍程度です。
■アフリカ産の豆
【モカ】(エチオピア産・イエメン産の豆。かつて出荷されていた港の名前が呼び方に)
かつてモカの港からは、イエメン産のコーヒー豆の他、対岸のエチオピア産の豆も一緒に輸出されたため、両国産のコーヒー豆を合わせて「モカ」と呼ばれる。
フルーティーな香りと強い酸味が特長。
ただし、モカでも深い焙煎にしていくと、酸味は少なくなる。
酸味の少ないモカも存在します。
イエメン産で「モカ・マタリ」と呼ばれて区別されるものもあります。
【キリマンジャロ】(タンザニア産の豆、地域名が呼び方に)キリマンジャロ地域で栽培されていた豆を日本に輸入するときに考えられた呼び方。
今では、タンザニア産の豆のことを差します。
キリマンと言って、珍重するのはどうやら日本だけのようです。
世界的には、タンザニア。 しっかりとした酸味が特徴。
私は、深煎りにするのが好きです。結構甘みが出ます。
【ケニア】(生産国で呼ばれる)
先進的な技術で生産されています。
オークションで高値が付くことが多いですね。
最近ではもっとも平均点の高い生産国だと思います。
果実としての力強さを感じます。
中煎りと深煎りの中間あたりで、甘酸っぱいコーヒーに仕上げることができます。
値段は高めです。
■アジア・アメリカ
【ハワイコナ】(国としてはアメリカ。地域名で呼ばれる)
ハワイのコナ海岸地方で栽培されている。
ブルーマウンテンに匹敵する値段。
味わいも、ブルーマウンテンに似ていると思います。
ハワイのお土産としては、ライオンコーヒーのフレーバーコーヒーが有名。
(バニラや、ナッツ類、チョコレート類などの香りがつけられています。)
香りが甘いのに、コーヒー自体は甘くないので、私は最初は違和感がありました。
【マンデリン】(インドネシア産、栽培した民族名で呼ばれる)
マンデリン族がスマトラ島でアラビカ種の栽培をすすめた。
そのことにちなんで、マンデリンと呼ばれるようになったそうです。
生豆では見てくれはひねくれ豆が多いです。
酸味は少なくコクがあり、熱狂的なファンがたくさんいます。
土臭いから、嫌いだという人も存在します。
飲み応えのあるコーヒーを飲みたいなら、まずマンデリンを。
【トラジャ】(インドネシア産、地域名で呼ばれる。)
スラウェシ島にある、標高1200mの山岳地帯「トラジャ地方」で栽培されています。
以前は有名でしたが、今はそれほど重視されていないと思います。
コクがあり、マンデリンに似ています。
コーヒー豆の種類は数え切れないくらいあります。
生豆でも、「生産国」(農園)×「豆の品種」×「精製の仕方」
焙煎豆になると、さらに「焙煎方法」や「焙煎度合い」という要素が加わって、数は莫大になります。
コーヒー豆を生産している国は60以上あり、 多すぎて、絞るのに苦労します。それらを一つ一つ分類するのは困難です。
上記を参考に、代表的な豆とその特徴を覚えるところから始めましょう。
(2012.12.07)