珈琲の抽出には、いろいろな流儀がありますね。それぞれに理論があり、メリットがあります。
焙煎を楽しむ身としては、「抽出は”再現性”が最も大事だ」と考えます。
抽出がぶれると、焙煎が良かったのかどうかが判定できないからです。
珈琲の淹れ方は、大きく分けると『透過式』と『浸漬(しんし)式』に分類できます。
フィルターによる味の違いなど、基本的な分類についてはこちらの記事で解説していますが、
今回はその中でも『再現性』に特化した話を深掘りします。
私の環境で、再現性が高く手軽な抽出法は、ハリオの「珈琲王2」。コーヒーメーカーです。
豆16g、水300mlをセットして、2杯分で抽出。
このカップで、自分の焙煎を判断しています。
ただ、よそで焙煎したり抽出したりすることもあるので、その時に”手軽に再現性高く抽出する”方法が必要でした。
そこで、よくやるのが”浸漬式抽出~注ぐタイプ”です。
浸漬式は豆の量とお湯の量を決めれば、手順はシンプル。条件を整えやすい。
手持ちの器具を流用することが容易です。多くの人に試してもらえます。
また、初めての人にはインパクトを与えることもできるのです。
焙煎体験とセットで「スペシャルな感じ」を残すこともできる場合もあります。
ある場面で、お手本で抽出したときのこと。
豆の入ったジャグに直接お湯を注ぐと、「あっ!」という人がいました。
「この人(私のこと)、緊張して、間違った!」と思ったそうです。
「いやいや、これでいいんですよ。時間をおいて、紙で濾します。この方が、誰でも失敗なくできるでしょ?」
その後、無事抽出が終わり、おいしいカップができたとき、「なるほど。」と納得してくれました。
確かに、プアオーバー(フィルターに入れたコーヒー粉に上からお湯を注ぎ、粉を通過した液を抽出するハンドドリップの一種。透過式の抽出方法)でも、「〇〇さんの△△方法を採用」とかすれば、ある程度再現性を高めることができるでしょう。おいしくいれられるでしょう。
でも、焙煎の楽しみをメインに考えたときは、時間や注湯量をあまり気にしなくていい浸漬式がいいなと思います。
いろいろな場所で浸漬式を行ってきましたが、欠点もあります。
1)豆かすの処理が、プアオーバーよりも面倒。
2)使う器具の数が、プアオーバーよりも多くなる。(かき混ぜ用の容器=ジャグが必要)
3)濾すとき、液がなかなか落ちきらず、じれったいことがある。
さて、これら三つの欠点を一気に解決したのが、ハリオの「スイッチ」でした。
私は大きな衝撃を受けました。
「スイッチ」は、
お湯をいったんドリッパー内にためてから、任意のタイミングで一気に落とせる浸漬式ドリッパーです。
ペーパーをセットしたドリッパー内で珈琲豆をお湯に浸して、時間が来たら水門を開けて放出するというもの。
注がなくていいんです。
1)豆かすの処理は、プアオーバーと同じ。
2)かき混ぜ用のジャグが不要。
3)なんと、落ち方もすっきり!


手前に見えるレバーを押し下げると、抽出が始まります。
付属の説明書によると、浸漬時間は2分。

この説明書では、豆36g、お湯は440ml(容器いっぱいまで)となっています。0.08:1の比率。
「スイッチ」の場合、お湯を注いだ後でもかき混ぜないことが前提なので、濃度を出すために豆は多めにする必要があると思います。
私はこれまで、豆は16g、お湯は300mlで抽出してきました。0.05:1の比率。豆の量は上記の推奨よりもかなり少ないですね。
いままでの経験や、残してきたデータもあるので、それらを生かしながら条件をそろえて比較することを最優先にして、
【16g、300ml】で進めていくとにします。

お湯を注ぎますが、金属製のボールが栓になっていて、お湯はドリッパー内にたまって珈琲豆を浸し、
エキスがしみ出ていきます。

豆を浸してから2分経ったらレバーを押し下げて、抽出を開始します。
豆の表面から水気が見えなくなった時を、「落ち切り時間」とします。4分1秒でした。

これまでやってきた、”注ぐタイプ”の浸漬式抽出だと、側面の豆層は薄く、底に栓をするような感じで残ります。
この「スイッチ」だと、側面にも厚みのある豆の層ができます。これが、落ち切りに良い働きをしているように思いました。
やはり濃度は薄め。雑味は感じられずとてもまろやかで、飲めないことはありません。少し、物足りなさを感じました。
レバーを押してから2分程度で、すっかりと落ち切るというのは気分がいいものです。
いままで何度も行ってきた”注ぐタイプの浸漬式”では、最終盤で抽出速度が極端に遅くなり、場合によっては、「止まってしまった!」と感じられることもありました。
焙煎人として、手軽さと再現性を両立したこの「スイッチ」を基準器具としたいところですが、難点は値段が高いこと。
初心者の皆さんに「買ってください」というには、ちょっと高い。
買うなら、大きいほうにしてほしいので、アマゾンで2903円。(2026/4/18現在)
最大440mlのお湯をためておくので、ペーパーも大きいサイズの03タイプが必要になります。
02タイプよりは手に入りにくいし、割高感があると思います。
ですから、多くの人に採用してもらうには、手持ちの器具を流用できる”注ぐタイプ”がいいのです。
けれども、操作感は「スイッチ」に近づけたい。
欠点、特に3つ目の「落ち切り」問題を解消して、手軽さ、再現性の高さを維持しつつ、
”注ぐタイプ”で、「スイッチ」の気持ちよさを!
これが、このシリーズのテーマです。
今後の予定
・ドリッパーの形状による比較
ドリッパーはハリオのV60がメインでしたが、他にもいろいろあるよね。
・”かき混ぜ過ぎ”が、「落ち切り問題」の原因か?
・結局はミルの問題なんでしょうか?
・アバカのペーパーはいいのか?不織布のフィルターはどうなんだ?
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