2015年12月17日(木)の
ワールドビジネスサテライト(東京テレビ系列)では、
「氷温熟成」について取り上げていました。
食品業界が注目している技術です。 「寒さでうまみが倍増する!」とのこと。
最初に出てきたのがコーヒー。 気になったので内容をメモしておきます。
キーコーヒーが運営する都内のカフェ。
「KEY’S CAFE CLASSE」(キーズカフェ・クラッセ)
昼休みに一息入れる客の姿が見られます。
客
「苦味のきつさがなくて、まろやかっていう感じがすると思いますね。」
この客たちが飲んでいるコーヒーは、ただのコーヒーではありません。
「氷温熟成珈琲」 一杯250円。
通常より1割ほど割高ですが、販売数は伸びています。
氷温熟成コーヒーとはどういうものか。 秘密は倉庫にありました。
麻袋の中に入っているのが、コーヒー豆。
詳しい温度は企業秘密ですが、マイナスの温度帯一定期間寝かせます。
氷温熟成というのは、
大根などを冷たい冬の外気にさらす
「寒干し」からヒントを得て生まれた技術です。
食品が凍る温度はまちまちです。
氷温とは0度から食品が凍り始めるまでの温度帯のこと。
食品をこの温度状態にすると、
甘味やうまみの成分であるアミノ酸が増えることが分かりました。
こうした氷温熟成を売りにした商品は続々と投入されているそうです。
氷温熟成のこしひかり、かつおぶし、魚など。
実は氷温熟成は偶然から生まれました。
氷温研究所は45年前から研究を重ねています。
研究員に案内された先には、2ヶ月前に貯蔵された梨がありました。
マイナス1度の氷温状態で保存すれば、最大1年間鮮度が保たれます。
鳥取の名産、二十世紀梨、
この梨の貯蔵を研究する過程で、たまたま発見されました。
「貯蔵庫の機械が故障して、なしが凍結してしまったんですけど、
凍ってないなしが見つかって、0度以下でも凍らない温度帯があるのではないかと。」
全国の企業に、氷温熟成技術を広め、700近い認定商品が生まれました。
これまで困難といわれてきた食材にもこの技術が生かされるようになりました。
東京都内のとんかつ専門店。 氷温熟成の肉を使っています。
「脂の感じがあっさりしている。」 「コクがあります。」
客が食べていたのはバラ肉のとんかつです。
2800円と値は張りますが、とんかつでは珍しく、バラ肉を使った人気の一品です。
「エイジング(熟成)されていて、やわらかくて味がいいので、
うちはあえてこれをとんかつで出してる。 」
豚肉の氷温熟成を全国で初めて成功させたのは、株式会社クリフ。
熟成させた牛肉は普及していますが、
腐りやすい豚肉での熟成はこれまで難しいとされてきました。
クリフ社長 「30年前から熟成に取り組んできたわけですね。」
豚肉の氷温熟成の鍵は、細菌の増加を防ぐ徹底した衛星管理でした。
まず運び入れた豚肉は洗浄ラインに送り付着した細菌や汚れを取り除きます。
洗浄ノズルの形状や角度など、7年かけて独自に開発しました。
その後を乾燥させ、運ばれるのが熟成庫。
およそ2週間かけて熟成していきます。
室内の温度は、ここでも企業秘密。
社長
「この温度はですね、究極の温度。凍る、凍らないの寸前の場所です。」
もう一つ欠かせないのが清掃。
毎日3時間以上、細菌をできるだけ減らすことで、
熟成できる日数を増やしてきました。
氷室豚と呼ばれる、氷温熟成の豚肉。
普通の豚肉に比べてうまみ成分のグルタミン酸が2倍になり、
肉もわらかくなっていました。
スーパーで売る通常の豚肉は、100グラム250円ほど。
氷室豚は、2.5倍のおよそ650円で販売。
うちのブランド肉が並ぶデパ地下。
氷室豚は、産地ではなく氷温熟成という技術で勝負をかけます。
クリフの専務は、三越伊勢丹のバイヤーのもとを訪れました。
持参したホットプレートで焼きだしたのは、氷室豚の試作のベーコン。
新たに百貨店においてもらうため、バイヤーに売り込みに来たのでした。
「味はしっかりしているけど、後味がすっきりしている。」と好評でした。
今度の春から、一部の三越伊勢丹で販売されることになりました。
氷温熟成を武器に攻勢をかけます。
氷温熟成が新しいブランドとなりうるのか、これから注目したいところです。
大江キャスターが解説していていましたが、
氷温熟成の豚肉については、
衛生管理を徹底しなければ成り立たないことなので、
簡単には量産が出来ないということなんですね。
量産されていないから高くなりますが、
高くてもいいものをたべたいという人は必ずいます。
そこへ切り込んでいくことが出来そうな技術だと思いました。
珈琲も、
手間がかかるから高くなるということが納得されれば、
高くても売れると思います。
一般家庭では、低温の温度を細かくコントロールすることは難しいことだと思います。
家でやるなら寒干しのように、アバウトにするしかないですね。
以前、雪中珈琲というのを聞いたことがあります。(2016.02.01)