身近な道具で、最高においしい「飲み頃」を。コーヒーの楽しみを別次元へ進める、再現性のホームロースト。

【浸漬式・検証04】“注ぐタイプの浸漬式抽出”を究める! | 焙煎直後の「ガス」と落ち切り時間の深い関係

【浸漬式・検証04】“注ぐタイプの浸漬式抽出”を究める! | 焙煎直後の「ガス」と落ち切り時間の深い関係

やってきたこと

注ぐタイプの浸漬式は、再現性が高く使う器具も用意しやすいという長所があります。
焙煎を楽しんだ後に、すぐに珈琲として飲めるようにするというのには適していると思います。

一方、
濾しているとき、最終盤で進行が遅くなり、落ち切までの時間が長くなってしまうことがあるという欠点もあります。
その欠点を克服するやり方=「進行が遅くならず短時間で落ち切るやり方」を見つけ、
ホームローストとともに、浸漬式抽出も広めたいなと思っています。

スローガンは、「注ぐタイプで『スイッチ』の気持ちよさを」です。

「スイッチ」はハリオ製の浸漬式抽出のための器具です。
注ぐタイプではなく、底の栓を抜いて水分を下に落とすというもので、
スムーズな進行で、トータル時間も早いです。
安定感も抜群です。

珈琲の抽出は最終的にカップ(飲み物としての出来=飲んだ時の味わいや香り、舌触りなど)で評価されるべきですが、
「カップの評価」を数値化することは一般家庭では難しく、感覚的にならざるを得ません。

ですから、検証の視点としてカップの前に「時間」にこだわることにしました。
基本設定に従って抽出し、時間を測り続けました。

新たな課題

検証を続けているうちに、「最終盤で、もたつく」ことは、それほど多くないことが分かりました。
私の思い込みが大きかったようです。

「どんな時にもたつくのか」を明らかにすることが新たなテーマとなりました。

過去の「もたついた経験」は何か?
改めて、じっくり考えて思い出されたことは、
焙煎を楽しむ会で焙煎直後の豆を使って浸漬式で淹れようとしたときのことです。
すっきり落ちずにじれったさを感じたことが、複数回あったのは確かでした。

【焙煎後の経過時間】と【落ち切時間】とは関係が深いのではないかと思い当たりました。

検証04 焙煎後の経過時間による落ち切時間の変化

4月26日 エチオピア ベンチ マジ カーボニックマセレーション: フルシティ。

焙煎後すぐの豆をV60を使い基本設定で抽出。

落ち切り時間: 5分7秒。
いつもよりも特に終盤の進みが遅くなかなか落ちきりませんでした。

もたついた経験が再現できました。

4月27日 エチオピア モカ グジ G4+: フルシティ 焙煎時期は上と同じ昨日の夕方

ひと晩立って、次の日の朝、V60で濾しました。

落ち切り時間: 4分45秒。
やはり、焙煎から時間がたっていない場合に、もたつきが生じるようです。

4月28日 カーボニックマセレーション

スムーズに進行
落ち切時間:4分22秒

4月29日朝 焙煎から、3日後。ベンチマジ カーボニックマセレーション: フルシティ

ハリオV60
落ち切り時間: 4分8秒(早い!)
少なくともこの豆では、焙煎後の時間がたつごとに落ち方はスムーズになりました。

同じ日の朝、基本設定(2回回転)を離れて、浸漬するときにぐるぐると10回くらいかき混ぜました。
落ち切り時間: 4分12秒

基本設定(2回回転)よりも4秒遅いですが、大きな差とは思えませんでした。
乱暴にかき混ぜても、大きな差は出ないことが確認できました。
ただ、カップは雑味を感じました。変な重さが加わった感じ。
落ち切り時間にあまり差はないけれど、やっぱりかき混ぜ過ぎは嫌な味を出してしまうようです。

基本設定を決定するときに、かきまぜ回数を比較したことを思い出しました。
その時は、かき混ぜを多くした方が、かえって落ち切り時間が早くなりました。

「怪我の功名」 5月3日 焙煎した日に抽出したが、、、

「焙煎直後はもたつきが起こるだろう」という仮説を確かめをしようとしました。
夕方に焙煎を終え、9時ごろから抽出をしました。
もたつの再現ができると思いましたが、なんともたつき無しで落ち切ったのです。
豆は、ケニア Qグレード フルシティ

「スイッチ」: 3分25秒

「ハリオV60」: 4分18秒

仮説は立証できなかったと落胆しかけましたが、実は仮説実証へのステップとなりました。

普段は、抽出する直前に1回分ずつグラインドしますが、
この日はミルが使える時間が限定されていたため、
やむなく100gをいっぺんにミル(富士ローヤル 目盛り5.5)にかけていました。
抽出の1時間ほど前です。

グラインド後、1時間もすれば二酸化炭素はかなり放出されるという事に思い至りました!
二酸化炭素が適度に減れば、もたつきはなくなるのです。

以上の検証、そして「怪我の功名」から導き出された答えは一つです。

浸漬式の落ち切り時間を支配していたのは、器具の性能よりも、豆の中に眠る「大量の二酸化炭素」だったのです。

調べてみると、専門的にはガスの気泡がフィルターの目を塞ぐ「ブロッキング現象」
あるいはガス放出による「透過抵抗」と呼ばれる現象があるそうです。

  • 日数が経つと早くなる: 豆から自然にガスが抜け、お湯の通り道が確保されるから。
  • かき混ぜると早くなる: 撹拌の衝撃でガスが強制的に追い出されるから。
  • 挽いて置くと早くなる: 表面積が増え、短時間で脱気が進むから。

すべては「ガス」というキーワードで一本の線に繋がりました。

結論:じれったさは「鮮度の証」

検証の結果、私が追い求めていた「スイッチのような気持ちよさ」を阻んでいた真犯人が見えてきました。

◎ 浸漬式の流速、落ち切り時間を左右するのは器具よりも「豆の二酸化炭素ガス(新鮮さ)」である!

もし、焙煎直後の豆を淹れて「なかなか落ちないな」とじれったく感じたなら、、、
実はそれは、
豆が発信している「まだガスがパンパンだよ!」「今はまだ飲み頃じゃないよ!」というメッセージです。

これからの「ホームロースト・スタンダード」

焙煎直後に抽出する際は、無理に落とし切ろうとして撹拌しすぎないこと。
味にトゲが出てしまいます。

「落ち切らないのは新鮮な証拠」と捉えて、後半落ち方が鈍ったところで潔くドリッパーを外しましょう。
それが、最も美味しい部分だけをカップに残すコツです。

私が長年感じてきた「焙煎後2日目あたりからが飲み頃」という感覚。
それは、「ガスが程よく抜け、浸漬式ですんなり落ち切るようになるタイミング」と見事に一致していました。

「すっきり落ちる」という物理現象こそが、飲み頃を知らせるサインだったのです。

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